2012年10月12日金曜日

マスダンジョン~数論冒険譚~のストーりー

マスダンジョン~魔王と秘林迷路~の前作,マスダンジョン~数論冒険譚~の物語。
ラスリ,勇者である。
といっても彼女が勇者であるのは、現実に魔王を打ち負かしたがゆえに勇者なのであって、もともとの彼女に勇者たる資質や資格が備わっていたわけではない。だが、結局魔王を倒せずに終わった勇者以前の者たちと比べれば、 ラスリこそが勇者の条件を満たす存在であることは明らかである。

高名な物理学者の孫であるラスリは人びとを守る力を得るため、異空間である数論空間で修行を始めた。 てこの原理--条件を満たせば地球をも動かす武器を使い、究極の物理学的必殺技をラスリは操るのだった。

あるとき数論世界の中で、ラスリは化け物に食われそうになっている幽霊と出会う。数論空間は世界の根源だ。どんな世界にも繋がっている。死後の幽霊たちの世界にもだ。彼女は化け物を倒し幽霊を助けた。幽霊は何か言いたげな素振りを見せたが、幽霊が苦手なラスリはその言葉に耳を傾けなかった。

だが、その後もラスリは同じ幽霊と幾度も再会した。 幽霊は人に危害を加えるつもりはない様子で、ラスリの幽霊への恐怖は和らいでいった。いつしかラスリは異空間を彷徨う幽霊を可哀想だと感じるようになっていた。 しかし幽霊は非科学的な存在だ。どうすれば幽霊を救けることができるだろう? それに対してマズリットは次のように提案した。

 『幽霊を自分の身体に憑依させればよい。』

一つの体に二つの存在を宿すのだ。 ただし、このやり方は大きな危険を伴うが。ラスリはそれを試すことに決めた。 ラスリは幽霊に決闘を申し込んだ。とまどいつつも幽霊は戦いに応じた。憑依させる前に幽霊の力を弱めておかねば、自分の身体が幽霊のものになってしまう危険がある。 勝負を決めると、フィールドから幽霊の姿が消えていた。

「リエの王子さま~」とラスリの武器がしゃべった。それは予想外の出来事だ。どうやらさっきの戦いを通じ、幽霊はラスリの武器に乗り移ってしまったようだ。 だが、大きな問題はなかった。ラスリと幽霊は武器を通じて五感を共有することもできるし、言葉を交わすこともできるようになった。 そうしてラスリは数論空間から幽霊を連れ出すことに成功した。

その武器に宿った幽霊こそが、マズリエである。

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